※この記事は以前書かれた古い記事に加筆修正をしたものです。
タイでの生活にいくらか慣れてくるとやはりタイ人との会話を楽しみたくなってきます。
「こんにちは」「元気?」「どこ行くの?」といった簡単な挨拶のフレーズから使い始めて徐々に会話のレパートリーを増やしていく、まさに異文化コミュニケーションの醍醐味ですね。
でも気を付けていないと知らず知らずのうちにおかしなタイ語を使っていることがあり得るんです。
というのもガイド本や辞書に載せられているタイ語で今はもう使われていないものや使い方が難しいものがあるからなんですね。
この記事では間違って使いかねない三つのタイ語をピックアップしてご紹介しましょう。
辞書通りじゃない?使い方を気を付けるべき三つのタイ語
「はじめまして」
タイ語で「はじめまして」をなんと言うのか辞書で調べると次の言葉が出てくるでしょう。
「ยินดีที่ได้รู้จัก:インディー ティー ダイ ルーヂャッ(ク)」
私がが観察した限りほぼ全ての「タイに来たばかりの人」がこのタイ語を間違った仕方で使っています。というか私も間違って使っていました。
日本では初めて知り合った人と話す際、まず最初に「初めまして」と述べ、それから詳しい自己紹介をします。
その同じ要領で「ยินดีที่ได้รู้จัก:インディーティーダイルーヂャック」を使うとタイ人からは少し不思議な感じで見られることになります。なぜでしょうか?
それはこの「インディーティーダイルーヂャック」という言葉が「知り合えて良かった」という意味の過去形の文章だからです。
つまり本来このタイ語はある程度お互いに自己紹介をし知り合ってから使うべき言葉なんですね。
それでお互いにまだ何も紹介し合っていない時点で使うとタイ人からは「?」な感じに映ってしまうんですね。
この点でおもしろいなぁと思ったのが、我々日本人だけでなく欧米人の方々も同じような間違った使い方をしているということです。
考えてみると英語には「Nice to meet you:はじめまして」という初めて会ったときに使う言葉があるので、頭の中で「ยินดีที่ได้รู้จัก=Nice to meet you」と変換しているのかもしれませんね。
辞書にある「ยินดีที่ได้รู้จัก:インディーティーダイルーヂャック」という言葉はお互いに自己紹介を終えてから使う言葉と覚えて下さいね。
おやすみなさい
ガイドブックや辞書などで「おやすみなさい」は次のように訳されています。
「ราตรีสวัสดิ์:ラートリーサワッ(ト)」
おそらくその訳に間違いはありません。というか間違いなく「ラートリーサワット」は「おやすみなさい」の意味を持つタイ語です。
ただタイ人でもほとんど使わない言葉です。
タイ人の友達に聞いたのですがこの言葉はずいぶん古い言い回しのようですね。なのでこの言葉を使うと笑われてしまうことがあります。
ではタイ語で「おやすみなさい」はどう表現すればよいのでしょうか?
例えば自分から「もう寝ます」と言いたい場合は「ไปนอน:パイノーン」と言えます。
寝る人を送る形で「おやすみー」と言いたい場合は
「นอนหลับดีๆ:ノンラップディーディー(よく寝てね)」や
「หลับฝันดีๆ:ラップファンディーディー(良い夢見てね)」と言えます。
これらの言葉のほうがより親しみ深く温かいと共に近代的なものとなっています。ぜひ使ってみましょう。
さようなら
辞書で「さようなら」を引くと次のようなタイ語が見つかると思います。
「ลาก่อน:ラーゴーン」
確かにこの言葉にはさようならという意味があります。
しかし気を付けなければいけないのが、この「ラーゴーン」には長期的に会うことがない人に向かって使う「さようなら」の意味が含まれているということです。
ですからまたすぐ明日にでも会う人にこのタイ語を使うとなんだか変な感じになってしまいますね。
もっとシリアスな場面も考えられます。
もし自分が何かの病気で入院したとして、お見舞いに来てくれた人の帰り際に「ラーゴーン」なんて言ってしまうと「もう会うことはないでしょう‥」みたいな雰囲気になってしまうかもしれません。
当然、こちらが病気の人を見舞いに行くという逆のパターンの際にも気を付けるべきです。
他にも、ビジネスの大切な契約が関係する場なんかで使ってしまうと大変かもしれません。気を付けたいですね。
では日常のちょっとした「さようなら」はどう表現すれば良いのでしょうか。
相手が親しい身近な人であれば日本でもよく使う「バイバーイ」で大丈夫でしょう。
しかし相手が目上の人、敬意を払うべき立場の人であればそうはいきません。次のタイ語を使いましょう。
「สวัสดี ครับ/ค่ะ:サワッディー クラップ/カ」
いくらかタイ語になじみがある人であれば「?」と思われたかもしれません。そうです「サワッディー」はあいさつの言葉です。「おはよう」「こんにちは」「こんばんわ」三つの時間帯のあいさつを兼ねる便利な言葉なので、数あるタイ語の中でもまず覚えるものかもしれません。
この「サワッディー」、実は別れのあいさつの意味合いまで含んでいます。
つまり「おはよう、こんにちは、こんばんわ」+「さようなら」までをカバーできるすごく便利な言葉なんですね。
ですからちょっとした別れのあいさつの際にはこの「サワッディー」を使いましょう。
目上や初対面の人、その他敬語を使うべき人には、必ず語尾に「です、ます」を意味する男性なら「クラップ」、女性なら「カ」を付けましょう。
女性の「ค่ะ:カ」は短母音表記ですが、あえて「カー」と伸ばして発音すると愛嬌や温かさが出ます。
男性も同じで「クラップ!」と短く発音するより「クラーップ」といった感じに少し伸ばした感じに言うとより柔らかい雰囲気になります。ぜひ覚えておきましょう。
まとめ
日本人(外国人)が間違って使いやすい三つのタイ語表現をご紹介しました。
辞書に書いてあるタイ語なので自信満々で使ったのに、なんだか変な雰囲気になったという経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。実はこういう背景があったんですね。
実際、私たち外国人がタイ語を間違って使ったとしても大きな問題になることはまずありません。
むしろ「外国人だからね~」と温かく反応してくれるタイ人がほとんどです。
しかしタイに1、2年以上居てあいさつなど基本的なタイ語を喋れないのはちょっと恥ずかしいですよね。タイ人との関係にも溝ができてしまうかもしれません。
ぜひ基本的なタイ語の使い方をしっかりマスターして、異文化コミュニケーションを存分に楽しみましょう。